2009年06月21日
オルタナイーヴ。(1)
昨日(20日)、スノドカフェのイベントに参加してきた。
この日は、
オルタナティブスペース・スノドカフェ
Knowledge walk 「アートと学びの企画」~’09初夏の特別レクチャー~
コンテンポラリーアート、ナウ!
~アートと世界の今とこれから。~
講師 ロジャー・マクドナルド(Arts Initiative Tokyo)
という内容。
まず、前半は、「現代美術の今」をインデペンデント・キュレーターのロジャーさんがトーク。
後半は、静岡の前衛美術の歴史、ということで柚木さんがトーク、という2部構成。
並行して、1FではDJイベントや食べ物販売などが行われて、ちょっとした夜店状態。
(あいあんしぇふさんはじめ、料理担当のみなさん、ごちそうさまでした。
カレー美味しかったです。あとスモーク豚も。あとジンジャエールも。あとビールも。)
という、例によって超盛りだくさんの内容。
では、まずは前半の話から。
ロジャーさんは、アートやその周辺にまつわるキーパーソン(メモできただけで25人。もっといたはず)を、約1時間の中に圧縮陳列、じゃなくて圧縮講義。
・・・・・ってことは、一人当たり2分ちょい。ふ~~~。
パラパラまんがを見るようなというか、、、、
一番近い感じはネットサーフィンかもしれない。
とにかく膨大な情報が、咀嚼する前に次から次と現れては消える。
キーワードは「幻覚的」。
そして、王道でない美術に目を向けよう、という話もあったので、たぶん「異端」もキーワードだろう。
縄文時代の遺跡で発掘されたキノコ型の土器、マンボで「あ~っ、うっ」のペレス・プラード、ジャズのサン・ラ、心理学のユングの円盤の本に、アニメ「未来少年コナン」まで、表現の中の「幻覚的なもの」について、様々なキーワードが提示されていく。
個人的には、ジャズミュージシャンの「サン・ラ」の話がツボだった。
これ、話すと絶対長くなるなあ、でもこの話は書いてみるか。
サン・ラは、自ら「土星人」と名乗り、常時10人以上のミュージシャンと自宅で共同生活をしつつ、フリージャズ(とビッグバンドジャズの間)のバンドを率いて、カルト的な支持を受けた人。
私も好きで、サン・ラのDVD「ジョイフル・ノイズ」や「スペース・イズ・ザ・プレイス」を持っている。
(買った自分の勇気を誉めたいが、関心のない人が見ると「なんじゃこりゃ」作品なので注意。)
"Space is the place"とは、「宇宙こそまさにその場所」。
自分達が生きる場所、それは宇宙しかない、ということだろう。
さて、このバンドが凄くて、全員金ぴかの衣装で客席の間を行進しながら演奏したり、あいまにサン・ラが説教を始めちゃったりする。
その説教も、「地球は間違った音楽、間違った政治で汚染されている。今こそ、私があなた達を音楽で救ってあげよう」みたいな調子で、かなりイッているもの。
サン・ラのすごいのは、それがステージだけで終わらず、メンバーとの共同生活でもそれを貫いていることだ。
海外ツアーに行ったりすると、次の会場へ行く飛行機代がないので、ホテルで、真っ白のLPジャケットにメンバーみんなでタイトルやイラストを手書きし、ライブ会場で売って稼いだとか、、、、、とにかく、濃いエピソードには事欠かない。
でも、考えてみれば、アース・ウインド&ファイアーも服なんて金ぴかだし(マイナーだけどPファンクも。彼らの"one nation under a groove"=「一国が同じグルーヴで揺れる」なんて、まさに妄想)、どっか宇宙的な要素を音楽に取り入れていたわけで、これも、「幻覚的」な表現行為、ということになる。
当時の黒人が感じていた差別的な境遇を、自分は宇宙人だ、と「仮想」することで、ひっくりかえすという意味合いが、かなりあるんだろう。
ロジャーさんは、このような「疎外されている感」が、「禅」や、「カンフー映画」への共感に結実した、なんて話もしていたなあ。
憧れとしての東洋文化。
無理矢理まとめれば、この世界に居心地の悪さを感じている人たちが、止むに止まれずする表現がアートなのだ、そして、それは見る人に幻覚的な作用を与える、ということになるのだろうか。
話を聞きながら、オルタネイティヴ+ナイーヴ=オルタナイーヴという造語が浮かんだ。
「違うようにあること」+「世慣れない」=alternaive。
世慣れない不器用さと、周りから浮いた感じ、そしてそれでも作品を作り続けること。
それがアーティストなのでは、と思ったのだった。
あらら、イベント前半の話しかできなかった。
後半も、かなり論争的な内容で、私的にはすごく盛り上がったのだった。
明日、ではないけど、とりあえず続きを書きます。
それにしても、ロジャーさんがくれたキーワード。
これからいろいろ調べなきゃいけないことが増えちゃって、楽しくて楽しくて、大変である。
最後に、蛇足ですが、ロジャーさんの講義を聞いたあと読むとすご~く腑に落ちる一冊を。
ビート運動と禅、ヒップホップと現代美術、電子音楽と現代音楽のかかわりなど、これ一冊で概観できあます。
『フォーエバー・ヤン~ミュージック・ミーム1』ヤン富田
やっぱ凄いっす、ヤン富田。
この日は、
オルタナティブスペース・スノドカフェ
Knowledge walk 「アートと学びの企画」~’09初夏の特別レクチャー~
コンテンポラリーアート、ナウ!
~アートと世界の今とこれから。~
講師 ロジャー・マクドナルド(Arts Initiative Tokyo)
という内容。
まず、前半は、「現代美術の今」をインデペンデント・キュレーターのロジャーさんがトーク。
後半は、静岡の前衛美術の歴史、ということで柚木さんがトーク、という2部構成。
並行して、1FではDJイベントや食べ物販売などが行われて、ちょっとした夜店状態。
(あいあんしぇふさんはじめ、料理担当のみなさん、ごちそうさまでした。
カレー美味しかったです。あとスモーク豚も。あとジンジャエールも。あとビールも。)
という、例によって超盛りだくさんの内容。
では、まずは前半の話から。
ロジャーさんは、アートやその周辺にまつわるキーパーソン(メモできただけで25人。もっといたはず)を、約1時間の中に圧縮陳列、じゃなくて圧縮講義。
・・・・・ってことは、一人当たり2分ちょい。ふ~~~。
パラパラまんがを見るようなというか、、、、
一番近い感じはネットサーフィンかもしれない。
とにかく膨大な情報が、咀嚼する前に次から次と現れては消える。
キーワードは「幻覚的」。
そして、王道でない美術に目を向けよう、という話もあったので、たぶん「異端」もキーワードだろう。
縄文時代の遺跡で発掘されたキノコ型の土器、マンボで「あ~っ、うっ」のペレス・プラード、ジャズのサン・ラ、心理学のユングの円盤の本に、アニメ「未来少年コナン」まで、表現の中の「幻覚的なもの」について、様々なキーワードが提示されていく。
個人的には、ジャズミュージシャンの「サン・ラ」の話がツボだった。
これ、話すと絶対長くなるなあ、でもこの話は書いてみるか。
サン・ラは、自ら「土星人」と名乗り、常時10人以上のミュージシャンと自宅で共同生活をしつつ、フリージャズ(とビッグバンドジャズの間)のバンドを率いて、カルト的な支持を受けた人。
私も好きで、サン・ラのDVD「ジョイフル・ノイズ」や「スペース・イズ・ザ・プレイス」を持っている。
(買った自分の勇気を誉めたいが、関心のない人が見ると「なんじゃこりゃ」作品なので注意。)
"Space is the place"とは、「宇宙こそまさにその場所」。
自分達が生きる場所、それは宇宙しかない、ということだろう。
さて、このバンドが凄くて、全員金ぴかの衣装で客席の間を行進しながら演奏したり、あいまにサン・ラが説教を始めちゃったりする。
その説教も、「地球は間違った音楽、間違った政治で汚染されている。今こそ、私があなた達を音楽で救ってあげよう」みたいな調子で、かなりイッているもの。
サン・ラのすごいのは、それがステージだけで終わらず、メンバーとの共同生活でもそれを貫いていることだ。
海外ツアーに行ったりすると、次の会場へ行く飛行機代がないので、ホテルで、真っ白のLPジャケットにメンバーみんなでタイトルやイラストを手書きし、ライブ会場で売って稼いだとか、、、、、とにかく、濃いエピソードには事欠かない。
でも、考えてみれば、アース・ウインド&ファイアーも服なんて金ぴかだし(マイナーだけどPファンクも。彼らの"one nation under a groove"=「一国が同じグルーヴで揺れる」なんて、まさに妄想)、どっか宇宙的な要素を音楽に取り入れていたわけで、これも、「幻覚的」な表現行為、ということになる。
当時の黒人が感じていた差別的な境遇を、自分は宇宙人だ、と「仮想」することで、ひっくりかえすという意味合いが、かなりあるんだろう。
ロジャーさんは、このような「疎外されている感」が、「禅」や、「カンフー映画」への共感に結実した、なんて話もしていたなあ。
憧れとしての東洋文化。
無理矢理まとめれば、この世界に居心地の悪さを感じている人たちが、止むに止まれずする表現がアートなのだ、そして、それは見る人に幻覚的な作用を与える、ということになるのだろうか。
話を聞きながら、オルタネイティヴ+ナイーヴ=オルタナイーヴという造語が浮かんだ。
「違うようにあること」+「世慣れない」=alternaive。
世慣れない不器用さと、周りから浮いた感じ、そしてそれでも作品を作り続けること。
それがアーティストなのでは、と思ったのだった。
あらら、イベント前半の話しかできなかった。
後半も、かなり論争的な内容で、私的にはすごく盛り上がったのだった。
明日、ではないけど、とりあえず続きを書きます。
それにしても、ロジャーさんがくれたキーワード。
これからいろいろ調べなきゃいけないことが増えちゃって、楽しくて楽しくて、大変である。
最後に、蛇足ですが、ロジャーさんの講義を聞いたあと読むとすご~く腑に落ちる一冊を。
ビート運動と禅、ヒップホップと現代美術、電子音楽と現代音楽のかかわりなど、これ一冊で概観できあます。
『フォーエバー・ヤン~ミュージック・ミーム1』ヤン富田
やっぱ凄いっす、ヤン富田。