2009年07月29日

カポエイラという「場」、そして目眩について

以前、カポエイラを一度だけ体験した事がある。

カポエイラというのは、ブラジルで発達した武術、、、、おっと、武術でもあり、舞踏でもある、というもの。
ブラジルの奴隷たちはいざというときの腕を磨きたい。でも、暴動を恐れる支配者たちは、あからさまに「武術」を練習していると、必ず弾圧しにくる。そこで、これは踊りだ、ということにして、練習を積み、洗練されていったのが現在のカポエイラということらしい。
実際、踊りとも格闘技とも言いがたい。しかし、その「場」の持つ独特の昂揚感は、中毒性がある。

二人の戦い手を囲むように観客が車座になり、うたを歌う。そして、パンディロ(タンバリンみたいな楽器)やアタバキ(縦長のドラム)、ビリンバウ(この楽器は一口では説明しにくい、、、)などの伴奏で演技が進む。演者同士もアドリブの応酬があり、さらに演技と演奏も相互に煽りあって、車座の中は常にゆるやかな、時に烈しい緊張感が持続していく。この音楽も、おなかの底がもやもやムラムラしてくるような、不思議な土着的な力を潜ませている。
文章にしてもなかなか伝わらないのだけれども、生で見れば、その昂揚感は実感してもらえると思う。

さて、そのカポエイラ。
とにかく回転技が多い。宙返りしたり、横回りしたり、時にはブレイクダンスのように頭を支点にしてぐるりと回ったり、、、、。
日常生活では、こんな風に回転することはめったにない。それだけに、ちょっとだけ体験しても、目が回ってしまう、のだが。ちょっと練習をしてみると、自分の周りの世界と、その中で回っている自分の位置関係がおぼろげに見えてきて、その空間感覚が面白いのだ。自分がぐるりと回っていても、それに対して世界はずっしりとそこにあることが実感できる。

世界のずっしり感が実感できるというか、自分が回転するからこそ、世界が見える。


ぶらんこ。
そう、子どものころ、ぶらんこに何度も繰り返し乗った、あの時の感覚に近いかもしれない。
ロジェカイヨワの「めまい」


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Posted by しぞーか式。 at 23:59│Comments(0)しぞーかで考える
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