2009年08月12日
安曇野にて

長野にある知り合いの別荘に遊びに来ている。ここまで休憩を挟んで5時間もかかってしまった。
到着し、近くの「安曇野ちひろ美術館」に行った。
いわさきちひろは、活動の舞台が絵本だった事や、水彩の独特の淡い色づかいで、ちょっと過少評価されている、と言うか、少なくとも私はしていた。
しかし、実際に素で原画と向き合うと印象は一変した。
例えば『白い馬とりんごを持つ少年』。
著作権的にたぶんヤバいので、この展覧会へのリンクを貼っておきます。しばらくしたら見られなくなりそうですが。
表情が読み取れない少年の背景に、葉が落ちた木があって、その間を浮かぶように白馬が駆けている。
パステルっぽいきれいな色づかいで描かれているが、見れば見るほど、落ち着かない気持ちになる絵だ。
商業的な世界にいながら、こうした表現のデーモンみたいなものを抱いて創作を続けて来た小柄な女性。いわさきちひろは、もっと騒がれても良いのかも知れない。
そして、ベトナム戦争とこどもを主題にした絵本『戦火の中の子どもたち』。
いわさきちひろが、ここまで突っ込んで戦争について絵本を書いていたとは知らなかったので、不意打ちされて不覚にも目が潤んでしまった。こんなにイメージに訴える力を持った絵だったのだな。
子供の頃、松谷みよ子の『ふたりのイーダ』の司修のイラストにトラウマのような強烈な印象を受けたのだが、今更ながら、いわさきちひろ版も見てみたかったな、と思った。
昨日からの睡眠不足もあって、美術館の中のテラスで爆睡。ホントに心地よい椅子があって、気持ちいい場所だった。

『ふたりのイーダ』に登場する、「イナイ、イナイ、ドコニモ、イナイ」の椅子を思った。
Posted by しぞーか式。 at 22:46│Comments(0)
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