2011年07月20日

隠花ウイルス

以前、会社のパソコンにウイルスが見つかったことがある。
発見当初は何が起こるかと大騒ぎしたのだけれど、調べていくとどうもかなり毛色が変わったウイルスらしいことがわかってきた。
まず、ハードディスクの中の「とても深いところに潜んでいる」ので、通常のウイルス対策ソフトでは(見つかるのだが)退治出来ないのだという。
これに関しては、パソコンには全く暗い私は「ふーんそうですか、面倒なウイルスですね」という他ないのだけれど、もう一つの特徴ときたらこれだ。

「何も悪さをしない」。

これはどうか。普通、ウイルスといえば、こっそりパソコンに入り込んで、何か大きな迷惑をかけるもんじゃないのか。なんというのか、そういう悪意を持ったものがウイルスなんじゃないのか。
なのにこの、ウイルスにあるまじき引っ込み思案な感じときたら。

ハードディスクの奥底で、じっと何もせず潜んでいる。それでいて、チャンスを見つけるとすかさず自分を複製し、ハードディスクの奥底にまた潜む。
こうして、特に何もせず、ただ密かに広がり続けるだけのウイルスって、何なんだろう。

ウイルスというからには、作者がいるのだろう。
全然悪さをしないウイルスであっても作るのは悪いことなのだろうけど、いったいどんな動機でこのウイルスを作ったのか、この作者に聞いてみたい気がした。
ひょっとしたら、隠花植物みたいな、密やかな『いきもの』に命を与えるということが楽しかったのだろうか。



  


Posted by しぞーか式。 at 16:44Comments(0)しぞーかに暮らす